泌尿器科とは
泌尿器科で取り扱う臓器は副腎、腎、尿管、膀胱、前立腺、尿道、精巣、陰茎などを挙げることができます。これらの臓器および組織に発生する病気には尿路結石、尿路感染症、尿路性器の癌や外傷、前立腺肥大症、尿失禁、神経因性膀胱、性機能障害(ED)などがあります。当科ではこのような疾患の診断・治療と予防を行っています。
特色
泌尿器科全般を取り扱う専門診療科であり、日本泌尿器科学会認定の専門医教育施設です。地域の基幹病院として、男女の尿路疾患、男性の性器疾患の高い水準の治療を目指しています。新しい治療法を積極的に取り入れ、苦痛の少ない検査や治療にも心がけています。
スタッフ紹介
鈴木 淳史 | 泌尿器科部長 昭和62年和歌山県立医科大学卒業 専門: 前立腺癌 資格:日本泌尿器科学会認定医・専門医 日本泌尿器内視鏡学会泌尿器腹腔鏡技術認定 臨床研修指導医 医学博士 |
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出口 龍良 | 泌尿器科医師 平成26年 和歌山県立医科大学卒業 専門:泌尿器科一般 資格:日本泌尿器科学会専門医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 |
丸山 容平 | 泌尿器科医師 平成31年 和歌山県立医科大学卒業 専門:泌尿器科一般 |
診療内容
◆ 副腎腫瘍
さまざまなホルモンの分泌過剰となる副腎の腫瘍や、ホルモンを分泌していなくても悪性が疑われる大きな腫瘍に対する外科治療として、腹腔鏡手術を行っています。
◆ 腎癌、腎盂尿管癌
腎細胞癌、腎盂尿管癌の手術治療では腹腔鏡手術を行っています。転移のある場合や手術ができない場合は腎癌では分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬で、腎盂尿管癌の場合は抗癌化学療法、免疫チェックポイント阻害薬で治療します。
◆ 膀胱癌
膀胱癌の約8割は筋層非浸潤性(表在性)で内視鏡による切除術で治療します。ただし膀胱内への再発も多いため再発予防のためにBCGの膀胱内注入療法を行います。筋層浸潤性膀胱癌には膀胱全摘術が必要ですが、より根治性を高めるために手術前に抗癌化学療法を併用することがあります。
◆ 前立腺癌
前立腺癌の腫瘍マーカーであるPSA(前立腺特異抗原)の普及により、前立腺癌の患者さんは増加しています。前立腺癌の治療法は前立腺全摘手術、放射線療法、内分泌療法がありますが、病気の進行度や年齢、合併症、生活様式などを考慮したうえで治療方法を決定します。悪性度の低い早期の癌の場合は診断時にすぐに治療を行わずにPSA値や生検で経過を見るPSA監視療法を行う場合もあります。
◆ 精巣腫瘍
精巣の悪性腫瘍は比較的まれな腫瘍ですが20歳から40歳代に発生する頻度が高いです。手術で精巣を摘除しますが、転移のある場合は抗癌化学療法を行います。精巣の悪性腫瘍は抗癌化学療法に感受性が高いものが多く、転移のある症例でも約70%が根治可能です。
◆ 尿路結石症
尿路結石症は増加傾向にあります。1㎝以下の小さな結石は尿と共に自然に排石することを期待して内服薬や飲水、運動などで経過観察します。大きさが1㎝以上のものや経過観察しても排石しない結石には手術などの治療が必要です。当院では最新のレーザー機器を用いた内視鏡治療を行っています。
◆ 前立腺肥大症
高齢男性の排尿困難や頻尿の原因になる疾患です。内服薬で治療を開始しますが、症状が改善しない場合や残尿が多い場合は手術が必要となります。当院ではホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)を行っています。内視鏡下に前立腺をくり抜くように切除します。大きな前立腺肥大も治療可能で、出血も少なく、手術後の尿道カテーテルの留置期間も2日前後です。
◆ 過活動膀胱、神経因性膀胱など
頻尿や尿失禁は日常生活の質を低下させ、特に夜間頻尿は寿命にも影響するといわれています。原因となる疾患を治療したり、症状を緩和する薬を内服したり、行動療法などで治療します。
私たちは科学的根拠に基づいた医療、安全な医療を実践することを根底にして、新しい薬や治療方法を積極的に取り入れて患者さんが社会復帰できるよう努力していきます。今後ますます高齢化が進み、私たちの泌尿器科医療も社会的にクローズアップされてきている中で地域医療に貢献できるように頑張りたいと思います。
臨床実績
2020年 | 2021年 | 2022年 | ||
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副腎の手術 | 腹腔鏡下副腎摘除 | 0 | 1 | 0 |
腎・腎尿管の手術 | 開腹腎摘除 | 1 | 1 | 0 |
腹腔鏡下腎摘除 | 6 | 5 | 1 | |
腹腔鏡補助下腎尿管全摘除 | 1 | 6 | 7 | |
尿管の手術 | 経尿道的尿路結石除去(TUL) |
41 |
54 | 73 |
尿管鏡検査 | 3 | 10 | 11 | |
経尿道的尿管狭窄拡張 | 1 | 4 | 0 | |
膀胱の手術 | 膀胱全摘+回腸導管 | 5 | 5 | 0 |
膀胱全摘+尿管皮膚瘻 | 0 | 0 | 2 | |
尿管皮膚瘻 | 2 | 0 | 0 | |
経尿道的膀胱腫瘍切除(TUR-BT) | 61 | 56 | 59 | |
膀胱砕石 | 13 | 20 | 12 | |
前立腺・尿道の手術 | 経尿道的前立腺切除(TUR-P) | 0 | 2 | 7 |
レーザー前立腺切除(HoLEP) | 9 | 13 | 20 | |
尿道狭窄内視鏡手術 | 3 | 3 | 2 | |
陰嚢内容ほか | 高位精巣摘除 | 2 | 3 | 0 |
精巣固定 | 1 | 2 | 1 | |
陰嚢水腫切除、精液瘤切除 | 3 | 4 | 3 | |
包茎手術 | 2 | 3 | 6 | |
その他 | 18 | 22 | 28 | |
計 | 172 | 214 | 232 |